ささみの呟き

独断と偏見でいろんな感想を載っけてく

ボーはおそれている 観ました

こんばんは。最近コンスタントに映画を観ているので更新も頻繁になってます。

とんでもない映画を観てしまったため、頭の整理のためにも書き記そうかと…。

大好きなアリ・アスター監督の最新作です。

ネタバレ感想ご注意ください!

 

【情報】

『ボーはおそれている』

監督・脚本:アリ・アスター

2024年日本公開のアメリカ映画
2024年2月に映画館で視聴(字幕)


【あらすじ】
ボーはいつも不安でいっぱい。父の命日に帰省しようとしていたボーは、直前で猟奇的な隣人に荷物と自宅の鍵を盗まれてしまう。トラブルで帰れない旨を母に告げると、信じてもらえず、会えないまま母親が亡くなってしまった。報せを受け、絶望に打ちひしがれたボーは車に轢かれてしまう。目を覚まし、轢いた家族から献身的なサポートを受けるが、早く帰省しないと母親を埋葬できないと弁護士になじられ、どうにか帰省する方法を探るが……。

 

【良かった点】
▪画面がとにかく美しい。ホラーやスリラー作品を得意とする監督で、自分自身普段は好んでそういった系統の映画は見ないのですが、ヘレディタリーの最初の10秒でこの監督の虜になりました。ミッドサマーもですが、今回の映画もとにかく画面が美しくいびつに整っています。何度でも観たくなる洒脱な映像。色、構図、映すモチーフ、なにもかもがオシャレ。

B級映画っぽい展開やコメディシーンがたびたび挟まれますが、全くB級に見えなかったのは画面の美しさとテンポ、世界観の説得力(ホアキン含め)によるものだと思います。本当に挑戦的な内容でした。

▪さまざまな映画のオマージュ。ここはあれっぽいな、と考えるのが楽しかった。

ホアキン・フェニックスのお芝居。純真無垢な不安定さ、疲弊している中年の感じがとっても良かった。JOKERを見ていないのですが、これのお陰で見たくなりました笑 ホアキンが途中でカウボーイハットをかぶって田舎の男性になりきるシーンがあるのですが、これがまあかっこよくて……ホアキンとアリアスター監督で次回は西部劇やると聞いて激しくガッツポーズをしました。心の中で。

▪物語後半、母親のベッドの上でのシーンが最高に最低で、普通にトラウマになりそうです。途中からじわじわ「こういう展開になりそう、なったら嫌だな、ならないでくれ!」と思って身構えていたのですが、思っていた通りになって本当に嫌でした笑 きっとボーに感情移入していたからなのでしょうけど、分かっていても逃れられない恐怖ってあるんですね。

▪ボーが経験する出来事や見えている世界は、意味が分からないようでいてきちんと全部物語やロジックがつながるように、映画鑑賞者に説明されていることがとても親切だと思いました。そのおかげで、どこからどこまでがボーの思い込みで…というのも割と分けやすいと思います(アリ・アスター監督が明確に線引きさせようと思っているかはさておき…。)母親・自分の性的側面への恐怖と罪悪感が、きちんと一貫して描かれており正直心地よさすらありました。

▪日常の恐怖を描くのが上手い。叫びながら走ってくるだれか、というのは私もよく不意に考えてしまいます。

 

【ここはイマイチ】
▪この映画に言うのはご法度のような気がしますが、長いです笑

▪父親の真実を見せてあげる…と言って案内された場所に居たのが、父親じゃなかったのが分かりづらかったかも。後で公式解説見て、あれが双子の兄弟だったことを知り、度肝を抜かれました。父親じゃないんかい。

 

【上をどう直すか】(個人の見解です)
▪テンポを速くするとしたら森の妄想シーンはカットか、もう少し短めでもええんちゃう?と思いました。ただ映像がすこぶる美しく素晴らしかったので難しいところですね。

▪屋根裏にもう一人の自分が閉じ込められる夢、とボーは言っていたのですが、実際は「夢じゃなく記憶よ!」と母親に言われて屋根裏に入れさせられます。そのつながりで、双子の兄弟が生きていたんだ!となれば良いと思うのですが……

私は直前まで話していた「父親の真相を教えてほしい」という話の内容が頭から抜けず、それ前提で屋根裏部屋に入れられたのだと思っていたため、完全に父親のやせ細った姿なのだと思ってしまいました。ここはセリフに改善が期待できそうです。

 

 

個人的な話をすれば、自分自身も家族や親というテーマに薄暗さと強烈な愛憎を抱えているため、アリアスター監督の映画はすべてドンピシャです。気持ち悪いことを言うと、「家族」「親」などに対する利己的な自分を可視化して、自分を慰めたくなることが多いため、非常に共感してしまいました。

今回のお話は毒親から離れる→毒親が死んだふりをしている間に主人公は紆余曲折の帰省→帰省中に親の嘘が詳らかになり激昂して殺害→罪の意識からは逃れられず、最後の審判によって水の中で死亡 という流れだったと思います。

水から生まれて、水に還る。ともすれば、ドグラマグラや、INSIDE(ゲームです)を彷彿とさせる構成でした。

 

絶対に映画館で見る価値はあるのですが、付き合いたてのカップルや友達と行くものではないと思います笑 私は今回見る前友達と行こうと思っていたのですが、予定が合わず断念。今となっては心底ひとりで見てよかったと思ってます笑

 

それでは、また次回の記事でお会いしましょう!