ささみの呟き

独断と偏見でいろんな感想を載っけてく

ザ・クリエイター/創造者 観ました

 

こんばんは。

最初の記事に連続して、早速更新させてもらおうかと思います!

 

暦通りのお休みなので、土日は大体映画館にこもって色々観てます。

その中でも、最近観た中でいっちばん刺さったのがこの

ザ・クリエイター/創造者

ローグワンの監督がオリジナルで手掛けた最新SF(しかもサイバーアジアが舞台!)、AI対人間という古典的ながらもしっかりしたドラマのありそうな予告映像で、非常に楽しみにしておりました。

詳細な感想は下記!

 

※がっつりネタバレがあるので未見の方はお気を付けください。

 

【情報】

『ザ・クリエイター/創造者』

監督・脚本:ギャレス・エドワーズ

2023年10月20日日本公開

2023年10月21日映画館で視聴

 

【あらすじ】

AIが発達し、まるで人間の感情のような表現がプログラミングされた人型AI「シミュラント(模造人間)」が開発され、世界中で親しまれるようになった未来。

ある時、AIのミスによって核がロサンゼルスで起爆した。アメリカ政府は二度とこのようなことが無いように国内のAIを一掃。しかしAIを人間のように扱い共存し、生態系も再編されたアジア諸国、通称『ニューアジア』では、彼らを処分することを頑なに拒否。隣接するアメリカ西海岸諸国はこの事態を重く受け止め、ニューアジアへの潜入・殲滅部隊を発足した。

10年後。かつて、その潜入調査員だった主人公は、現地で亡くしたはずの妻がニューアジアで生きているという知らせを受け、再度潜入部隊に参加する。謎の天才科学者「ニルマータ」が開発した最新のAI兵器を持ち帰るという作戦の中、主人公は可愛らしい子供の姿をした兵器に辿り着き、行動を共にすることになる――。

 

【良かった点】

・世界観がとにかく良かったです。AI探知/殲滅基地「ノマド」が森や田んぼに機械的な青い光を降り注ぎながら出てきた瞬間脳汁止まらなかったし、徹底した画面作りが行われていて、それが世界観の説得力を形作っていたと思います。特に、アジア諸国の人種・言語がごちゃ混ぜになっているニューアジアの世界観、そこにAIが人と同じように暮らしている、という設定が100億点、これだけで観る価値あります。これが観たかった。黄金色の棚田にオイルの匂いがしそうないかついシミュラントが農作業してるの胸熱……。現実的には不可能かもしれませんが、様々なものを受け入れる、そして共存していくという描き方が良いなあと思いました。言ってしまえばファンタジーアジアですが、西洋文化から見つめたアジア文化への憧憬とリスペクトを感じる素敵な表現かと思います。

アルフィー役の女の子、演技がすごいし可愛い。ずっと見ていたい。これでデビュー作らしいですが、素晴らしいですね。ただ黙ってそこにいるだけで、とてつもない存在感があります。

・AIが人間より人間らしく描かれていました。ノマドに探知されたAIが走って家屋に逃げ込もうとするのですが、先に避難していた人間を見て、巻き込んではいけないととっさに引き返し命を散らす描写など、秒数にしたら10秒くらいだったと思いますが泣けました。

・主人公自身、親族がみんなロスの核で亡くなってAIに恨みを持っていたはずなのに、ニューアジアでAIを心から愛する人間の様子や、AIが領土戦争などするはずもないこと、すべては人間の犯した過ちであることを知り、なによりAI関係なくアルフィーのことを愛してしまった主人公の姿がとても人間臭くてよかったです。自分の娘の分身と知った後も、すぐに娘として接しないところが好感が持てました。

・ある種、AI賛美ともとられかねないラスト。新しい!考えさせられます。めちゃくちゃラストシーン好きです。

 

【ここはイマイチ】

・幕間に挟まるアイキャッチで日本語表記もあるのですが(FRIEND/友達 など)、そこのフォントが江戸勘亭流のようなフォントで画面の印象と合っていないのがどうも気になりました…。細かいですが、全体の画面がとても意図を感じられる丁寧なつくりなので。やはり、アジア情緒というひとくくりで纏められてしまっている部分で、憧れは理解から最も遠い感情なのだなと思います。(突然の藍染隊長)

フォントデザインは凝ってほしかったなあ。

・AIにまつわる設定が、観ていて物足りなかったです。うーん。

今回は、AIは写し鏡のような役割で、結果的に「人間」をテーマに描いた作品と受け取りました。だからこそ、AIの複雑な設定などは後回し、ある種「AI」という人種として描き、メインは人間同士の問題にして、物理的な諍いで分かりやすくしたのだと思っております。そのためAI設定まわりが物足りなかったなあと……欲張りでしょうか。ワクワクする設定てんこ盛りで、画面の圧で面白く見れるのですが、ストーリーが予想の範疇を出ないのでもう一歩AI関係で突出してほしかったなあ。

 

【上をどう直すか】(個人の見解です)

・フォントデザインに関しては日本のデザイナーに見てもらうのが良いかと。日本人向け考えてないならいらないです。

・そもそも、今回のAIの発想や設定が視聴者の予想の範疇にある、という問題があるかと思います。SF好きは科学による想像もできない素敵な未来(あるいはサイアクな未来)を見たい人も多いと思うので。となれば、やはりシンギュラリティに言及し、もっと高度な技術力で活躍するAIと人間社会のかかわりを描いてあると良かったと思います。ニューアジアとアメリカの戦いも、ほとんど人間同士の戦いと変わりがなかったため、もっと想像もつかない戦い方があっても良かったのではないかと…(それこそアルフィーのような能力があれば、「敵側の機器を操る」などできても良いですし、チートになりすぎない程度のチートをAI側がやっても良かったかと思います)。

 

全体的には本当にとても良かったので、もう一回くらい映画館に見に行きたい作品です。

ラストシーンに関して、さきほどAI賛美と書きましたが、作中での監督のAIの描き方が一貫して「人間が作り出した機械/プログラム」なので、どちらかといえば「人間賛美」かな?と思っております。「AIは人間を傷つけない」とプログラミングする人間のことを信じているのかなと。AIがAIを作るようになれば、先のことはいざ知らずですね。

 

観終わった後に素直に考えたのが、自分が同じような世界に生まれたら、果たしてシミュラントのことをただの機械として扱えるのだろうか、ということです。私には多分無理だ…。

人間の感情のメカニズムが完全に解明され、機械が感情をプログラミングによって完ぺきに会得したとすれば、それは果たして人間となんの差があるのだろう?とは思います。機械にも耐用年数があり、損傷すれば修復できないパターンもある。人間と同じように。

そこに命はありませんが、もしかしたらそのうち機械だけの社会が形成されることもあるかもしれないなあと思ったり。

 

とりあえず、SF/ヒューマンドラマ好きなら絶対に一見の価値ありだと思います。

今年観た中では今のところ一番良かったです!

 

他にも最近観た映画に限らず、観たもの読んだもの順不同で感想上げていきたいなと思います~!